【Richard Bach】 イリュージョン

Richard Bach 著の Illusions を村上龍が訳したものです。友達に勧められて読み、この不思議な雰囲気にやられました。




この本、どんなに言葉を尽くしても説明のしようがないというか、やはり読むしかないのですが・・・この本を読んで考え方が変わった、といえる数少ない本のうちのひとつです。物事のとらえ方に新しい一面を加えられた気がするのです。

あまりに気に入ってAmazonから原著も ↓ 買いました。原著は最初の数ページが、作者の手書きをそのまま載せたものになっています。序章のような、でも読み終わるとついまた最初に戻って読み直してしまう、実は大変重要な部分なのですが、そこがさらさらとその辺に書いたような手書きになってます。洒落た作りです。





村上龍の訳も自然でいいです。都心の混みあう帰宅ラッシュの電車内でこの本を読むと、いつも不思議な気持ちになりました。

なんというのか、本を開いて読み始めたとたんに周りの音も聞こえなくなり、自分が日当たりのいい一面乾いた小麦畑のようなところに座って物語を眺めているというような・・・。急に「なんか、いいや」というような穏やかな気持ちになれるのです。今でも読むたびに心地いいです。

ただひとつ言わせていただければ、日本語版は挿絵がどうも合わない気が・・・個人的な好みの問題なのでしょうが。原著の方はとても美しい表紙で、なおかつ文章の邪魔をするような挿絵もないので話に吸い込まれます。これほど情緒的な本なら、ベタな挿絵を入れるよりも内容からそれぞれがイメージを持つようにした方がいいような気がします。原著の英語はとてもシンプルで分かりやすく、日本語版と一緒に読み比べるのもいいですよ。

ちなみに同じ著者のもっと有名な「かもめのジョナサン」の方は、私にはさっぱりでした。昔からとても評価が高いし、ブラックジャックの愛読書でもあるので、子供の頃と大人になってからと1度ずつ読みましたが、どうもぴんときませんでした。同じ著者でも相性があるんですね。ちなみにこちらはなんと 五木寛之 (訳) でした。知りませんでした。



かもめのジョナサン (新潮文庫)

もしかしたら、原著の方が読みやすいのかもしれません。訳者の仕事というのは、英語=日本語、ではなく、元の文から新たなものを作り出す、という部分があるので、特にこういう本の訳者というのは大変重要な立ち位置にいると思います。

Richard Bach のこの世界観、私は大好きです。

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