【Tommy James & The Shondells】Crimson and Clover

数年前にはじめて聴いた曲です。友達の iPhone で、外がうるさいところで聴いたので、当然ながら「ふぅん」としか思いませんでした。

ところがしばらく経って、今度はオンラインラジオで流れてきたのを聴いて、ビビビ、ときました。

買ってみて、たまに聴いてはそのたびにビビビ、と来ます。今も流れてきたので(シャッフルなり)やっぱりこの曲は記録しておこうと思った次第です。

私は友達に勧められるまでバンド名も曲名も聞いた事もなかったので無名な曲かと思っていたら、実は60~70年代に大ヒットした曲でした。人の心をつかむ曲には普遍性があるようです。


この曲は、1968年にアメリカの Tommy James and the Shondells という大変覚えにくい名のバンドが作ったものです。この曲はアメリカのみならず、スイス・カナダ・ドイツ・ニュージーランド・シンガポール・南アフリカでNo.1 ヒットを記録したそうで、Price などによるカバー曲も知られているそうな。また当時のアメリカ副大統領までアルバムにコメントを残しています。

ちなみに曲の歌詞ですが、どうにも意味を成しません。題名のCrimson というのは、色を示します。「深紅、濃い赤紫」で、昆虫カイガラムシ(別名エンジムシ)を乾燥したものから得られる染料の色だそうです。虫嫌いの私としては微妙に嫌な事実を知ってしまいました。またこの色は英国王室の近衛兵や、ハーバードのスクール・カラー「Harvard Crimson」として、また身近なところでは楽天カラーとしても知られます。

そしてClover。こちらは例の葉っぱのクローバーです。ちなみにあちらのクローバーの花の色は例のCrimson カラー。

この曲の題名、"Crimson and Clover" は作者Jamesが寝起きに「自分の好きな色」と「自分の好きな花」を組み合わせてみた d(゚∀゚)  ものだそうです。「好きだから」だそうです。

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They were just two of my favorite words that came together. Actually, it was one morning as I was getting up out of bed, and it just came to me, those two words. And it sounded so poetic. I had no idea what it meant, or if it meant anything. They were just two of my favorite words.

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そしてこの曲はたったの5時間で完成されています。5時間で録音したのではありません。この5時間で、歌詞を作り、曲を作り、練習し、録音してレコードを作り、レコードのジャケットまでデザインし、「あやうく店に持っていくところだった」ところまで完成させたそうです。

この曲の特徴はなんと言っても「トレモロ効果」です。ギターが曲のリズムにあわせて振動(トレモロ)するようにアンプを設定して録音していたのですが、彼らはまたひょんなことを思いつきます。声も振動させてみようぜ d(゚∀゚) 

というわけで、マイクをトレモロっているギターのアンプにつないで、James が "Crimson and clover, over and over" と歌う声を録音したそうです。私バンドとかやってないので全然よく分からないのですが。この声は最後の部分に入っています。

この歌、実はまだデモバージョンだったそうです。ラフな演奏を録音して、それを推敲して最終バージョンを作る予定だったのが、いけずなラジオ局によるリークでうっかり世に出てしまったものだそうです。彼らはすぐに抗議したらしいのですが、このデモテープにたいするリスナーからの反響のあまりの大きさに、結局「ま、そのままでいいか」ということになったそうです。曲全体にどことなく漂う脱力感はそのせいでしょうか。

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And as I'm getting into the car, I hear, 'World exclusive! Tommy James and the Shondells!' and I go, Oh my God, they're playing the rough mix. They are playing the rough mix. And that rough mix ended up being the record. Because I couldn't mix it. There was no way. They broke the record so fast, it exploded out of Chicago. And they broke the record so fast that I was never able to do a final mix. (laughing)

I hated it. But then I had these mixed emotions. Because there's the biggest station in the country playing my record every half hour, and making a monster out of it, and it was a rough mix, and so I could hear all the little imperfections. Gradually I learned to like it. When it went Top Ten, I said, 'Well, it's not so bad, I guess.'

それで、車に乗ろうとしたときにラジオから「独占スクープ! Tommy James and the Shondells!」と聞こえたんだ。それで「Oh my God, あいつらあのラフ・ミックス(デモ)を流してる」と。でも、結局そのラフ・ミックスが記録的ヒットになった。すごい勢いでどんどん
記録を破っていって、あっという間にシカゴから飛び出していったから、結局やろうと思ってたファイナル・ミックスはできなかったんだ(笑)。

嫌だったよ。でも複雑な気分でもあった。だってあのラジオ局は全米一のビッグ・ステーションで、そこが30分おきにあの曲を流してはモンスターを作り出してる。でもあれはラフ・ミックスなんだ。だから聴けば聴くほどいくつも不完全な部分があるんだ。でもだんだん好きになるように努めて、実際好きになってきた。で、トップ10にまで上がってきたときに「まぁ、そう悪くもないんじゃないか」と。

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James 氏、なんだかいい人です。

ちなみにこの「特に意味はない」と作者が言っている歌詞についてですが、巷では大きく分けて2説あり、男性が人生ではじめて (1) ドラッグ、あるいは (2) Sex 、を経験したときの「うわぁ、という気分」を歌ったものだといわれています。

ちょっとWebで検索すると何ページにもわたって「こういう意味だ」「いやああいう意味だ、ハイになった時のまさにあの気分じゃないか(being high with all the "wah" and mute effects)」「いや違う、自分の女好きは筋金入りだ。まさにあの気分だ。」とか、2011年の今でも熱い論争が繰り広げられています。

その一方で「どんな意味でもいいよ。僕は5歳くらいの時に父のでかい緑色のChevyトラックの助手席で、このカセットをいつも頼まれてかけてた。今でも聴くと昨日のことみたいに父のことを思い出すんだ。」とか、「悲しい曲でもないのにこの曲を聴くといつも涙が出る。」というようなコメントも。

また、この曲がヒットしていた時期がたまたまクリスマスで、あまりにトレモロっている声のせいで多くのリスナーは"Crimson And Clover" を "Christmas Is Over" と聞き違えていたとか。もうわけ分かりません。



【歌詞】
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Ah
Now I don't hardly know her
But I think I could love her
Crimson and clover

Ah
Well if she come walkin' over
Now I been waitin' to show her
Crimson and clover
Over and over

My mind's such a sweet thing
I wanna do everything
What a beautiful feeling
Crimson and clover
Over and over

Crimson and clover, over and over (repeat) 

Now I don't hardly know her
But I think I could love her
Crimson and clover

Ah
Well if she come walkin' over
Now I been waitin' to show her
Crimson and clover
Over and over

Yeah
My mind's such a sweet thing
I wanna do everything
What a beautiful feeling
Crimson and clover
Over and over

Crimson and clover, over and over 

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