【医学】掌蹠膿疱症4:ビオチン不足について

こんにちは。

長々と書いてきました掌蹠膿疱症についてですが、最後の今回はビオチンについて書いていきます。

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ここでは私の掌蹠膿疱症の経歴と、寛解に効果的だったと思う3点について説明していきます。

前回は歯科治療についてお話しました。

【医学】掌蹠膿疱症3:歯科治療について
【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡


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1)金属
2)歯科治療
3)ビオチン不足

ちなみにこれらのうちのどれが一番効いたのかは実際よく分かりませんが、この3つすべてが発症に関連していたという実感はあります。

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3)ビオチン不足

これは何とも意外でした。

金属への接触を出来る限り排除し、歯根膿疱を治療した後、手は綺麗になりこれで完治か!?と喜んでいたのもつかの間・・・今度は今まで罹ったことのなかった場所、足に発症したのです。

1)も2)も、少しづつ排除していっていた、というだけで、まだまだ銀歯も残っていたし、治療し切れなかった歯根膿疱も残っていたので、さすがに綺麗に治ることはないだろうなとは思ったものの、その後手のひらには全く水疱が出来なくなりました。こんなうまい話があるわけない、けれどもしかして・・・もしかして完全に治った?と喜んでいたところでした。

その当時は南国に住んでいて、ほぼ毎日サンダル生活で靴下をはくことが全然ありませんでした。

そうしたら、だんだん足の指の間や足の裏が痒くなってきて、そのうちに皮まで剥けてきました・・・。そう、正に水虫!! 水虫には罹ったことがありませんでしたが、この執拗な痒さ、足の指の間、皮の剥け方といい、他には考えられませんでした。

そうこうしているうちに今度は、足の裏のつま先から真ん中にかけてのエリアにぶつぶつが出来てきて、そこも皮が剥けてきました。



この部分は歩くときに床や靴にあたる部分で、こうなるともう痒くて痒くて・・・歩くだけで悶絶するようになり、仕方なく現地の大きな病院の皮膚科に行きました。

そこで足の裏や指の間の皮膚のサンプルを取り、生検に出したところ・・・「水虫菌もないしほぼ無菌状態(皮膚の常在菌以外)だから、多分これは Dyshidrotic eczemaみたいなものだと思う。」と言われました。

Dyshidrotic eczema、日本語でいう汗疱状湿疹みたいな感じですね。もう水虫だと確信していたのでびっくりしましたが、よーく見てみると、確かに小さな水疱が固まって丘のようになったものが足の裏にいくつかできていました(膿疱はなし)。

水虫ではなかったとホッとしたものの、完治したと思っていた水疱が今度は足に出来た、ということで大変落ち込みました。ちなみにこの皮膚科でも少し強めのステロイド軟膏を出されました。

とはいえ、足の裏に軟膏を塗るというのは何とも不便なものです。しかも常夏の南国ということで普段は常に素足にサンダルでしたので、ヌルヌルと滑ってなかなかうまくいかず、結局寝る前だけ軟膏を付けて靴下をはいて寝ていました。

手のひらに比べて足の裏というのは皮膚も分厚く、水疱もはるか奥の方に出来ている感じで、軟膏も果たして患部に届いているのか??となかなか治らない足を見ながら思ったものです。

また、この足の水疱は、今までの手にできていた水疱とは(見た目は似ていたものの)少し違う点がいくつかありました。

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1)痒みが非常に強い

今まで手に出ていた症状は、たまに何かの拍子に猛烈に痒くなることがあり、両手をこすり合わせたりアイスパックを当てたりしてしのいでいました。ただ、非常に限定的で、猛烈に痒くなる時間を1とすると、痒くない(普段は痛痒い・熱を持った違和感という感じで痒くはないです)時間が9という感じでした。

ところが足の水疱は猛烈に痒い!! 常に歩いたり立ったりして体重がかかっているからかもしれませんが、痒みが一番つらい症状でした。


2)環境に依存する

これはどういうことかというと、この足の症状は周りの温度や履物によって症状が影響を受けている印象がありました。はっきり断言できないのは、足の症状は結局1~2年ほどで消えてしまったので、何年も繰り返している手と違ってデータが限定的なためです (;^_^A

例えば手の症状は、季節を問わず、またその他の外的要素(水仕事が多いとか乾燥しているとか)に関係なく、夏でも冬でも出ていました。

それに対して足の症状は、夏、特に汗をかくことが多い時、また靴下を履かない季節に悪化していました。なので発汗と関連している印象があります。

また、これは偶然かもしれませんが、私はCrocsのサンダルを履いた時に初めて症状が出たんですけれど、その後もビーチサンダルに変えると少しマシ?になり、またCrocsを履くと明らかに悪化する、というのを繰り返していました。それも履いてしばらくするとムズムズと痒くなるので最初はCrocsの素材に対するアレルギーかと思ったくらいです。

でも今考えると、Crocsの素材というよりは、汗をかきやすい形状(↓ こういう形で、ビーチサンダルに比べると熱気がこもりやすかったのかもしれません)だったのが影響していたのかとも思います。


汗をかいている自覚はなかったし、とても履きやすく重宝していたので残念でしたが、足の痒みに耐えられず持っていたCrocsはすべて処分してしまいました・・・


3)ステロイドが効きにくい

やはり手の皮に比べて足の皮というのは分厚く、その分ステロイド軟膏は効きが悪かったと思います。足の水疱は皮膚のずっと奥の方にできている感じだったので、局部に直接塗るタイプの治療薬は効きにくいのかもしれません。


4)膿疱ができない

水疱が奥の方にあったので破れたりして外部と接触する機会がなかったせいなのかどうかは分かりませんが、手にできるような黄色い膿のたまった膿疱はできませんでした。掌蹠膿疱症と違い、汗疱というのはそういうものなのでしょうが、これも大きな違いでした。


これらの違いも、本当は同じものができていたけれど、足と手の構造上の違いのために症状に差があった、というだけのことなのかもしれませんが、一応記録しておきます。


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さて、足に水疱が出来るようになり、ステロイドも効かず、これは何か別の方法を探さなくては・・・と、久しぶりにまたこれらの症状についてあちこちの文献を読み漁ってみました。ちなみにこうした情報を調べるときには、私は以下の場所を探すことが多いです。

ー皮膚科学会などの情報サイト
ー大学病院などの皮膚科の教育系サイト
ー過去数年以内に出た医学系論文

自分でブログを書いていてなんですが、個人の闘病記やブログは読みはしますが参考にはあまりしないことが多いです。

さて、かなり久しぶりに掌蹠膿疱症や汗疱状湿疹、異汗性湿疹について調べてみたわけなんですけれど・・・私が最初に発症したころに比べると、新しい知見や研究成果が沢山出ていて、治療法もステロイド軟膏だけだったのが他にもいろいろ出ていることに気が付きました。

その中で、掌蹠膿疱症の患者はビオチンの血中濃度が低いことが多く、ビオチン補充で症状が軽快することがある、という情報を目にしました。

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ビオチンとは何か?

簡単に言ってしまうと、ビタミンBの一種です。食べ物にもよく含まれているし、腸内細菌が作ってくれたりもするので、普通の食生活をしていて足りなくなるということはめったにないのですが。

ビオチンを作りにくい、または吸収しにくいという体質の人がいるらしく、そういう人は普通の食事をしていてもビオチン欠乏症になるそうです。

ビオチンは皮膚や爪、髪、粘膜などの健康に重要なため、ビオチンが足りないとこういった場所に影響が出るわけです。特に皮膚の炎症にはビオチン補給が効果的という研究結果も出てきており、アトピー性皮膚炎や脱毛にも影響があると期待されます。

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そこで、試しにビオチンをサプリとして飲んでみることにしました。サプリを摂る場合、まず過剰摂取に気を付けなければなりません。特に私はアメリカ人に比べて体が小さいので、アメリカの基準で成人推奨量を取っていては取りすぎになるかと思い、なるべく少量のビオチンサプリを探しました。

とはいえ、過剰摂取と一口に言っても、重要なのは「多すぎたときに体が捨てられるかどうか」ということです。ビタミンには水溶性(水に溶ける)と脂溶性(脂に溶ける)があり、水溶性は多すぎたら尿に出てきますが、脂溶性のビタミンを摂りすぎると体内に貯まってしまい害が出てきます。

幸いビオチンは水溶性なので、多少多すぎても(もったいないだけで)体から排出されるのみです。

ということで、ビオチンサプリを飲み始めました。ここはサプリ王国のアメリカ、どこのスーパー・薬局でも、サプリコーナーにはあらゆる種類のサプリがずらりと並んでいます。

アメリカの薬局で自分で買えるサプリやお薬についてのお話はまた今度詳しくしますが、結局店舗では錠剤、しかも30個入りとかしかなかったので、30個入りを何個も買ってプラスチックごみ増やすのもな~と思い、いつものようにAmazonで何となくですが以下の基準に沿って選びました

ー 錠剤ではなくてソフトジェルタイプ(何となく即効性・吸収性高そう)
ー 120個入りくらい(これ以上入ってると開封後時間が経ちすぎて鮮度が落ちそう)

肝心のビオチン含有量についてですが、メジャーなのは一錠あたり 5,000 ~ 10,000 mcg でしたが、どちらも一日のアメリカ標準成人摂取量をはるかに超えているので、まぁ余分なものは出ていくだろうということであまり気にしませんでした。500 mcg というものもありましたが、これでも十分すぎるくらいです。

Nature's Bounty Biotin Supplement, 10,000 mcg, 120 Rapid Release Softgels



楕円形の飲みやすいタイプです。

ちなみに、これって日本のアマゾンでも買えるのかな~と思ってみてみたら、同じものがこっちの3倍近い値段で売られていてびっくり! 時期によっても値段が変動するので、たまたま今が高かっただけかもですけれど・・・

正直それなりに名の知れた会社であれば、錠剤でもカプセルでも5,000でも10,000でも、あまり大差はないと思われます・・・ただ、はじめて飲む方は、体に合わないことも考慮して(実際アトピーの友人は体に合わなくてすぐにやめました)お買い得だからと3個セット買ったりせず、お試しサイズからの方がいいかもしれません。

アマゾン日本のビオチンコーナー


さて、話がそれてしまいましたが、そういうわけで、2年ほど前の夏、ビオチンを飲み始めました。この時点で、膿疱治療+古い銀歯の除去(どちらも100%ではなく、一部のみ)から多分1~2年経っていたと思います。手の症状に関しては、口内のケアでほぼ完治という感じでしたので、ビオチンに関しては足の症状緩和(と手の予防)のために飲み始めた感じです。

ビオチンは症状が出ていた時は大体2~3日に1回くらい、それ以外は1週間に1回くらいの割合で飲んでいました。そのうち、足の水疱も圧感がなくなってきて(説明しにくいのですが、パンパンに膨らんでいた水疱がだんだんしぼんでいくような感覚です)、皮むけも次第に綺麗になってきました。

ステロイドは足の裏に塗るのは(特に夏場)不便が大きすぎたのと、効果も感じられなかったためやめており、ビオチンを飲んでいただけでしたが、そのうち(多分数週間くらいは掛かっていたと思います)綺麗に治りました。

今この記事を書いている現在でビオチンを飲み始めて2年ほど経過していますが、手は全く症状が出ていません。足はたま―に水疱がかたまったでこぼこしたものが出ますが、これが出る前には(見た目は全く綺麗なのに)明らかな違和感やかゆみが出現するので、その時点で慌ててビオチンを飲むと、水疱が出てもすぐに消えます。明らかに「ここにできますよ~」っていうチクチク感覚があったのに、まったく何も出ないこともあります。

ちなみにこの「症状が出る直前にその場所に違和感がある」状態は、正にヘルペスなどと同じ感覚です(私は5年に1回くらい唇の同じ場所にヘルペスが出ます)・・・。

一応予防として、何の自覚症状もないときにもたまに飲むようにしています。出産後脱毛もひどいし・・・また、旅行の時などにも(足に出たりするとつらいので)必ず何錠かは持っていくようにしています。


20年間も悩み続けていた掌蹠膿疱症が出なくなってまだほんの数年ですので、まだまだ完全に克服したとは言えないかもしれませんし、今でもまた何かのきっかけで出てきたらどうしようと思うことはあります。

が、現在の時点で日常生活にはまったく影響がなく、多少出てきても「自分でコントロール可能」と思えるだけですごい達成感です。

アトピーや掌蹠膿疱症って、とりあえず命がどうこうという疾患ではないし、「手術で腫瘍を取り除いた」とか「抗生剤で感染症を治した」的な方程式がない分、医学的にもあまり医師の関心を集めにくいところがある気がします。

治療も個人差がありすぎて、さらに長期間にわたって一進一退を繰り返す、という感じなので、ますます患者としても医師としても意欲をそがれていくというか・・・

でも、短い一生のこれだけ長い時間を、毎日毎日不快感や不便感を味わいながら暮らしていかないといけないのって本当にもったいないです。

これら3つの治療(膿疱治療、歯科治療、ビオチン補給)は、特にハイリスクでも超高額な治療でもありませんし、ダメ元でやってみるという気持ちで着手してみてもいいかもしれません。私の場合はこの組み合わせで(今のところ)数年は快適に暮らせていますが、誰もに効くとは限らないので、そのあたりはあくまでも「ダメ元」マインドで行くといいと思います。

この辛さは、味わったことのある人にしか分からないと思います。一人でも楽になるよう、応援しています。

まとめ:
【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡
【医学】掌蹠膿疱症2:金属について
【医学】掌蹠膿疱症3:歯科治療について

【医学】掌蹠膿疱症3(歯科治療について)

こんにちは。

ここでは私の掌蹠膿疱症の経歴と、寛解に効果的だったと思う3点について説明していきます。

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前回は症状と金属(アレルギー)についてお話しました。

前回までのお話(【医学】掌蹠膿疱症2:金属について)
前回までのお話(【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡)


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1)金属
2)歯科治療
3)ビオチン不足

ちなみにこれらのうちのどれが一番効いたのかは実際よく分かりませんが、この3つすべてが発症に関連していたという実感はあります。

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2)歯科治療

これは1)とも関連してくるのですが、私は以前から歯科医にしばしば「歯根膿疱」ができている、と指摘されていました。歯根膿疱とは、その名の通り、歯の根っこの部分に膿のたまった袋、膿疱ができることです。

「aBSCESS ROOT CANAL」の画像検索結果
出典:American Association of Endodontists


この上図の歯の根っこ近くにある茶色い部分が膿のたまったエリアです。古い虫歯治療の後に出来てしまうことが多いようです。

歯科レントゲンでは何年も黒い丸いエリアがはっきりと映っていて、日本のかかりつけ医には「いつかはこれ治療しないとね~」と言われていました。

治療の流れとしては:

1)まず上にある歯の詰め物を取り、根っこの部分から膿疱にアクセス
2)膿疱の膿を洗浄してから抗生剤を詰め、仮の詰め物をかぶせる
3)1-2週間ほど置いてから、再び洗浄して元の詰め物を詰める

という感じだったと思うのですが、全部で1ヶ月ほどかかると言われ、いつも一時帰国では時間が足りず、また私の場合まったく症状がなかったのもあり、後回しになってきました。

しかし、掌蹠膿疱症についての文献を読み漁るうちに、「この疾患は体内の他の部分に何かしら炎症・感染症反応が起きているときに悪化しやすい、特に口内とは密接な関係があるようだ」という意見をよく目にするようになりました。

そこで一念発起して治療を受けたというわけです。

この治療がなんともすごいです。膿疱にアクセスするまでに結構な時間がかかるのですが、一旦膿疱にたどり着くと、おそらく一気に膿が噴き出てくるのか?なんとも嫌~な膿の匂いがします・・・。血の味もしてきます。今まで何も感じなかったのに、こんなに?!と思うほどの悪臭。

でも、体内にこれだけ悪臭を放つ膿が何年も(何十年も?)巣食っていれば、それは他の部分に不調が出てきて当然、というか出ない方がおかしいですよね。

そのあとは膿を洗浄して抗生剤を詰め、抗生剤が徹底的に綺麗にしてくれるまで(確か2週間ほど)待ちました。心情的には何とも気持ちのいい治療です。

実は私はこの治療時、ちょうどいつものように手のひらに掌蹠膿疱症が出ていたのですが、なんとも不思議なことに、この治療をして数日後から手のひらの熱感・圧迫感が減っていき(こぶしが握れる感じ)、数週間後には水疱がすべて消えてツルツルに!!

この、ツルツルの手のひらを見るのは久しぶりで(いつも消えてきたかな??と思うと別の場所にいくつかできる、という感じで、完全にツルツルになることがほとんどなかった)感動していろいろな人に見せて回ったくらいです。

最後の診察の時に歯科医にも興奮して伝えたのですが、田舎の開業医、という感じのかかりつけ医はあまり興味も関心も(もしかしたら知識も??)なかったようで、特にコメントはありませんでした(;^_^A

この、膿疱治療と掌蹠膿疱症については、自分の体感的には絶対に関連があったと思っています。というか、あの膿疱の悪臭をかいでしまうと、関連なくてもいつかは治療すべきだろうな、とは思います・・・

歯根膿疱に限らず、体内のどこかに慢性的な炎症や感染巣があると予想される場合は、掌蹠膿疱症との関連を疑ってみるべきだと思います。特に歯根膿疱は割とよくあるそうなので、対処しておくといいと思います。

さて、長らく書いてきましたこの持病についての記録も、次回のビオチンについてのお話で完結です。

次の記事:
【医学】掌蹠膿疱症4:ビオチン不足について

前回までのお話(【医学】掌蹠膿疱症2:金属について)
前回までのお話(【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡)


まとめ
【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡
【医学】掌蹠膿疱症2:金属について
【医学】掌蹠膿疱症3:歯科治療について

【医学】掌蹠膿疱症2(金属について)

こんにちは。

さて、私の(元)持病である掌蹠膿疱症との20年にわたる攻防について(?)赤裸々にお伝えしてきているこのシリーズ(?)も2回目となりました。

前回までの話:【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡

今回は、私のケースで効果があったと実感できた以下の3点について記録していきます。

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1)金属
2)歯科治療
3)ビオチン不足

ちなみにこれらのうちのどれが一番効いたのかは実際よく分かりませんが、この3つすべてが発症に関連していたという実感はあります。

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まず、金属、についてです。

1)金属

私は子供のころから皮膚が弱く、アトピーだったのもありますが(アトピーは10代頃にはほぼ完治)、特にシルバーのものに過敏に反応していました。特に10代以降、ピアスやアクセサリーを付けるようになってから、シルバー、それも路上で買えるような不純度の高そうな安物のシルバーなどを身につけると、触れていた部分がはっきり分かるほど赤くかぶれたりしていました。





掌蹠膿疱症の症状が出るようになってからは、アクセサリーなどは論外、という感じでしたが、これは金属がどうこう、というよりは、皮膚以外のものが付いているだけで痛かったから、という面が大きいと思います。

しかし、色々と調べていくうちに、日本の歯科治療で特に昭和の時代に一般的だった金属、いわゆる銀歯ですがそれに使われるアマルガムという物質が体内に溶け出して、特に金属アレルギーの人に起こる皮膚疾患に影響している、という研究結果が出てくるようになりました。特に掌蹠膿疱症と歯科金属との関連性についての論文がいくつかあります。

お恥ずかしいことながら、私は虫歯が多く、銀歯もたくさん入っています。これすべてをセラミック製のものなどに変えるとなると何十万と掛かると思います。それでもこれで完治する、ということでしたら思い切ったかもしれませんが、当時はまだそこまでの確信がありませんでした。

ところが、私が大体10代のころに入れたアマルガムの詰め物が、30代になって寿命を迎えてきたのか? ちょこちょこ外れるようになってきました。そのたびに歯医者に行って、古いものは取り換えたり、アメリカに住み始めてからは、セラミックや樹脂?に変えられることが多く、次第に古いアマルガムが口内からなくなっていきました。

はっきりは分かりませんが、金属アレルギーがひどかった時期と掌蹠膿疱症の症状が悪化していった時期はオーバーラップしているので、自分的には関連があったと思っています。

長くなりましたので、次回に続きます。

次の記事:






前回までのお話(【医学】掌蹠膿疱症2:金属について)
前回までのお話(【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡)



まとめ
【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡
【医学】掌蹠膿疱症2:金属について
【医学】掌蹠膿疱症3:歯科治療について

【医学】掌蹠膿疱症1(20年間の軌跡)

掌蹠膿疱症、という疾患を聞いたことがありますでしょうか。しょうせきのうほうしょう、と読みます。


掌蹠膿疱症とのつきあい

私は20代前半~40代前半まで、実に20年間もの長い間この疾患に苦しめられてきました。どういう機序でこの病気になるのか等はよく分かっておらず、90年代はまだまだネット検索も一般的でなく、医師にもあまり知られていなかったのか、正式に診断されたのはつい最近です(自分で調べに調べて、既に診断にたどり着いた後でしたが)。

この病気では、手の平や足の裏に膿を伴った膿疱(のうほう)ができます。膿疱とは、水ぶくれのようにぽつぽつ膨らんだ中に黄色い膿が入ったものを言います。

いわゆる難治性の慢性疾患で、治ってはしばらくするとぶり返し、という状態を繰り返します。当時はステロイド軟膏が主な治療(対処)法でした。

Google画像検索で「掌蹠膿疱症」と入れると多くの画像が出てきます(クリックで飛びます)。多少の差はありますが、私の症状もほぼこのような感じでした。


衝撃的な最初の(誤?)診断

私が最初に発症したのは大学卒業間もなく、アフリカに住み始めた頃でした。とは言え、その前からも常に手荒れがひどく、実家でもお皿洗いは私だけ免除されていたくらいですので、軽症ではあるもののすでに発症していたのかもしれませんが・・・

アフリカに住んでいた時に急に手のひらいっぱいに黄色い膿のたまった膿疱がびっしりと出来、こぶしを握ることもできない圧迫感というか熱感を伴う痛みが・・・。

現地の病院に駆け込んだところ、「毒グモ💀にでもやられたかな~」と呑気な医師の発言(!)。毒グモ!?とおののく私には構わず、彼は私の手のひらを押さえつけると、すごい刺激臭のする液体を振りかけ、脱脂綿でゴシゴシと手のひらをこすり取り始めました。

何もしていなくてもジンジンと痛む手のひらの皮を力任せにゴシゴシとこすられ、悲鳴をあげる私に、看護師まで参戦して手のひらを押さえつけます・・・20年経った今でも、書いてるだけで吐き気がするほどにエグい体験でした・・・。

(ちなみにココに現地で実際に出没したエグい蜘蛛の写真を貼ろうと思ったのですが、あまりにリアルなので自粛しました(;^_^A)

その時はさんざん擦られて水疱がいくらか潰れた後に何かの軟膏を塗られ、ヨロヨロと帰宅しました。当時はインターネットのような便利なものもなく(住んでいたところは電気も来てなかったし・・・)、本当に毒グモによって手がかぶれたのかと思っていました。



↑ 当時住んでいた村です。


慢性的に繰り返す症状

ところがその後日本に戻ってからも同じ症状が出て、病院に行ったところ「原因不明(多分これはアフリカ帰りということもあったのかもですが)」とのこと。

その後あちこちの国に移住していた間も、いくらかよくなったと思えばまた水疱が悪化して、しばらくすると潰れて皮が剥け・・・という症状を慢性的に繰り返していました。大体一度始まると半年から1年くらいはズルズルと続き、だんだん治っていって綺麗になって、また数ヶ月経つと少しづつ水疱が出来て・・・というのを何年も繰り返していました。

水疱が出てくる直前、まだ皮膚の見た目は普通の状態の時に痒みというかチクチクと違和感があり、水疱が出来てからは痛みや熱感があり、その後黄色っぽくはがれてくる間は引っかかってひび割れたり水が滲みたり、というのが典型的な症状でした。

そして、長いこと症状は両手のみでしたが、30代後半に急に足の裏の皮がぶつぶつになり剥け始め、歩くのが耐え難いほどの痒みが出現。南国に住んでいたのもありてっきり水虫かと思って現地の大きな病院で検査を受けたところ「水疱内は無菌だったので、汗疱性湿疹のようなものだろう」との診断でした。ちなみにこの検査も、痛痒い足の裏のぶつぶつを剃刀のようなものでコソコソとこそぎ取りその皮膚をラボに回すという、なんとも悶絶ものの(くすぐったがりなので)検査でした。


この体験について記す理由

なぜ私が急にこの持病について公開ブログに書こうかと思ったか?

手のひらに水疱が出来る、と聞くだけでは、何がそこまでつらいの?と思われる方も多いと思います。実際もっと大変な病を抱えている方にとっては全然大したことないと思います。

でも、手、って毎日何かと使いますよね。普段の生活はもちろん、その間に出産したので赤ちゃんのお世話や、私は医師だったので一日に何度も手洗いやゴム手袋をはめたりしていました。外科手技の際などは、大変強い洗剤で爪の間までゴシゴシと洗います。そのたびに水疱が潰れて飛び上がるほど滲みるのです。

また、ステロイド軟膏をテラテラに塗った真っ赤な水疱だらけの手はとても目立ちます。外国では握手の機会が大変多いですが「手がコレなので握手は・・・」と見せたときのあの「うわっ・・・」という視線。

私は子供時代アトピーにも苦しめられたのですが、見た目に影響がある皮膚疾患というのは、心身ともに大変つらいものです。アトピーも掌蹠膿疱症も、人にうつるものではありませんが、自分で見ても気持ち悪い・・・と思うほどなので、他人から見たらどんなに不快だろう、と悲しくなります。

ガサガサと皮が剥がれたり包帯で隠したりしているのも不潔に見えるし、特に子供というのは残酷なものでひどい言葉を投げかけられたりもしたものです。

手の状態がひどく軟膏でべたべただった時に、仲の良かった友人が握手をしようとしてきたので慌てて「今手がひどいから・・・」と手を引っ込めようとしたのですが、「そんなこと気にしないで」とギュッと手を握ってくれたことがあります。その子の手に膿や軟膏のべたべたが付いてしまった、と慌ててふき取ろうとしたときに「いいから!」と怒ったように言われて、何とも申し訳ないというか、情けない気持ちでいっぱいでした。

手のひらだけでなく、甲の方まで水疱が広がって常に手を隠していた当時は(誤解を恐れずに書きます)「もっと深刻でもいいから、内臓とか他の人に見えない部分の病気がよかった」と本気で思っていました。職場での毎朝の激痛手洗いが本当に気が重く、そのために仕事に行きたくないと思うほど、ある意味生活を支配されていました。


症状改善のために実行した3つのこと

その後自分なりに色々と調べ、医学文献を読み漁り、色々な医師の知見を仰ぎ、自分なりに3つのことを試してみた結果、症状が劇的に改善しました。そしてここ数年まったく症状が出ていないのです。

これを20年前の私に教えてあげたかった。この手の疾患は個人差があると思うので私に効いた治療が他の人にも効くとは限りませんが、それをシェアしたかったのです。先に記しておきますが、カルト的なものでも、高い商品を売りつけたりするようなものでは決してありません。そこだけはご安心くださいね。


決定的だったと私が思う3つのこと

結論から書いてしまいます。

1)金属
2)歯科治療
3)ビオチン不足

この3点です。もしかしたらストレスレベルや食べ物、また出産など、何かしら自分の気づいていない部分で変化があったのかもしれませんが、効果をてきめんに感じたのはこの3つです。

私も今の時点でほぼ5年弱、症状は抑えられていますが、完治したのかどうかは分かりません。ですので、今後のためにも他にも自分にはこれが効いた、などの情報がありましたらぜひコメントででもシェアしていただけましたら嬉しいです。

次回はこの3点について詳しく書いていきます。


次に続く:【医学】掌蹠膿疱症2:金属について


【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡
【医学】掌蹠膿疱症2:金属について
【医学】掌蹠膿疱症3:歯科治療について


【目の癌】Pamさんの活動がもたらしたもの/Eyes & Lives Saved

以前、お孫さんJoey君を目の癌で亡くしたPamさんの啓蒙活動についてお話したことがあります。

【目の癌】Joey 君と Pam さんのこと

Pamさんの活動による波紋はその後も広がっているようです。そのいくつかについてご紹介します。

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West Palm Beach のおばあさんは2月にPamさんの活動がTV番組で放映されたのを見ていました。その2ヵ月後に孫娘 Lexis が訪ねてきたので、一緒にディズニー・ワールドに遊びに行きました。そのときの写真を見ていたおばあさんは、 Joey と同じような白い目が写っていたのに気がついたのです。

Lexis はすぐに病院で診察を受け、ごく早期の網膜細胞腫が見つかりました。Lexis はとても幸運でした。ガンはまだできたばかりだったので、簡単に凍結療法で取り除くことができたのです。Lexis は眼球を取らずにすんだばかりか、視力も以前どおりです。医師たちは今後数年間は慎重に経過を観察する予定ですが、今のところはまったく問題は見られないとのことです。

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別の女の子 Jennifer は Lexis ほどラッキーではありませんでした。

生後8ヶ月のときに Jennifer の母親がソーシャル・ワーカーに、「この子の目はどこか変」と訴えたそうです。このソーシャル・ワーカーはたまたま Joey のことを扱ったTV番組を見たことがあり、またPam さんが作ったポスターを見かけたこともありました。

そこで母親に「 Jenniferの写真を撮ってみて」と頼んだ写真には、片目が白く写っていたのです。検査をしたところ、この目に癌が見つかりました。癌はすでに眼球中に広がっていたので、眼球を取り出す手術が行われました。

Jennifer は目を失いましたが、幸いなことに命は助かりました。このガンは生後間もない時期からでき始めていたものだろうということです。簡単な検眼が行われていれば、この子の目を救うこともできたはずです。

Jennifer (右目に癌があります)

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この記事を読んだ人が少しづつ知識を広めていくことができたら、というのがPamさんの願いです。Joey君を亡くした悲しさをこうして別のベクトルに変えてさらなる悲劇を防いできているPamさん、本当に尊敬します。

今までに助かった子どもたち(Pam さんのポスター)





またまたご無沙汰してしまいました。

ふと気が付いたら、前回の投稿(2017年)から2年以上経っていました・・・いやぁ時が経つのはなんと早いことか。こんな調子では人生あっという間に終わってしまいますね。くわばらくわばら。

ってそうではなくて、ご無沙汰でした。まー果たしてどなたか読んでくださっているのか、独りでつぶやいているだけなので不明ですけれど、記録していかないとまたどんどん忘れていきそうなので、いつものように雑多な記事を書いて行こうと思います。それでは!