【Louis Armstrong】 What a wonderful world (1)

つき抜けてる世界賛歌。

What A Wonderful World

この曲について私が語るべきことなどもはや何もない気がしますが、曲や彼の生涯、レビューなどについて記録しておこうと思います。

ルイ・アームストロングは 1901年 New Orleans の貧しい家庭に生まれました。"Satchmo(サッチモ)"という愛称で知られますが、これは彼のあの大きな口(Such a big mouth)の聞き違いだとか、または がま口(Satchel)からきているとか、要はあのうれしそうな大きな口からきているようです。

ちなみにこの人、結構適当だったらしく、彼の口述にはいろいろつじつまが合わないところがあると指摘されています。誕生日についても、1900年か1901年? ということで自分でも正確には分からなかったらしく、7月4日の独立記念日を誕生日として祝っていたものの、彼の死後10年以上経ってから実は8月4日だったということが教会の記録から分かっています。

祖父は奴隷で、Armstrong もニューオーリンズのスラム街で大変貧しい子ども時代を送ったようです。父親は彼が生まれて間もない頃に蒸発、その後母親までも彼を親戚の家に預けたまま5歳になるまで戻って来ませんでした。

彼がはじめて Creole 音楽というものに触れたのは、小学校に入ってからです。その頃から新聞配達や残飯あさりで小金を家に入れていたそうですが、それでも母親は売春で生計を立てなければならなかったほど貧乏でした。家のそばにはダンス・ホールがあり、そこでよくたむろしては音楽に触れていたといいます。

11歳の時に退学した Armstrong は、路上で歌を歌って小銭を稼ぎはじめました。この頃、小銭を投げられると他の大きな子どもに取られないように口に放り込んでいたというエピソードから、サッチモ(がま口)というあだ名ができたともいわれています。この頃は相当生活がすさんでいたようです。13歳の時には銃を発砲して矯正施設に入れられ、ここで コルネット(トランペットの兄弟みたいなの)を吹きはじめたということです。

彼の子ども時代に大きな影響を与えた あるユダヤ人移民の一家があります。彼はこの Karnofsky という一家のところで働いていました。この 一家は彼が幼い頃からいろいろと面倒を見てくれていたらしく、家に引き取り食事を与え家族同様に扱ってくれたといいます。Armstrong にとってこの一家との関係は大変大きなものであったらしく、後に「Louis Armstrong + the Jewish Family in New Orleans」という本まで出しています。この本の中で彼は、はじめて差別という概念に触れた時の事を記しています。

「この時はじめて、自分たち黒人以外にも差別を受けている人種がいることに気がついた。7歳だった自分にもはっきり分かるほど、このユダヤ人一家はひどい仕打ちを受けていた。」

この一家が彼に与えた影響はとても大きく、その後生涯にわたって彼はユダヤの星(Star of David)のペンダントを身に着けたといわれています。


実はこの Karnofsky 一家と彼との関係にちなんで、The Karnofsky Project という NPO(非営利団体)が設立されました。中古の楽器を集めて、ニューオーリンズの貧しい子どもたちに音楽を教える活動をしています。彼らのサイトには、荒れていた Armstrong に最初のコルネットを与えた(正式には買うお金を貸した)Karnofsky 氏についてこのような記述があります。

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ニューオーリンズで石炭を運ぶ仕事をしていた Karnofsky という男性がいた。彼の仕事を手伝うために彼の息子と息子の友人が、いつも石炭を運ぶワゴンに乗っていた。

毎日通りかかる店先に、息子の友人がいつも気にかけていた古いコルネットが置いてあった。手に入れることは到底不可能だと知っていた、でも欲しくてたまらなかったコルネットだ。

ある日、Karnofsky 氏 は店に立ち寄り、コルネットを手にして出てきた。彼はそれをその少年に手渡すと 「やってみたらいい(You could work it out)」と言った。

息子の友人は「やってみた」。そしてすばらしい音を出すようになった。

その少年の名前は Louis Armstrong という。


... 楽器を弾く機会があるのは子どもたちにとってとても大切だ。
この子達は Armstrong にはならないかも知れない。でもその経験は彼らの、そして私たちの人生をより豊かなものにするだろう。

(www.karnofsky.org より)
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