【医学】掌蹠膿疱症4:ビオチン不足について

こんにちは。

長々と書いてきました掌蹠膿疱症についてですが、最後の今回はビオチンについて書いていきます。

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ここでは私の掌蹠膿疱症の経歴と、寛解に効果的だったと思う3点について説明していきます。

前回は歯科治療についてお話しました。

【医学】掌蹠膿疱症3:歯科治療について
【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡


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1)金属
2)歯科治療
3)ビオチン不足

ちなみにこれらのうちのどれが一番効いたのかは実際よく分かりませんが、この3つすべてが発症に関連していたという実感はあります。

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3)ビオチン不足

これは何とも意外でした。

金属への接触を出来る限り排除し、歯根膿疱を治療した後、手は綺麗になりこれで完治か!?と喜んでいたのもつかの間・・・今度は今まで罹ったことのなかった場所、足に発症したのです。

1)も2)も、少しづつ排除していっていた、というだけで、まだまだ銀歯も残っていたし、治療し切れなかった歯根膿疱も残っていたので、さすがに綺麗に治ることはないだろうなとは思ったものの、その後手のひらには全く水疱が出来なくなりました。こんなうまい話があるわけない、けれどもしかして・・・もしかして完全に治った?と喜んでいたところでした。

その当時は南国に住んでいて、ほぼ毎日サンダル生活で靴下をはくことが全然ありませんでした。

そうしたら、だんだん足の指の間や足の裏が痒くなってきて、そのうちに皮まで剥けてきました・・・。そう、正に水虫!! 水虫には罹ったことがありませんでしたが、この執拗な痒さ、足の指の間、皮の剥け方といい、他には考えられませんでした。

そうこうしているうちに今度は、足の裏のつま先から真ん中にかけてのエリアにぶつぶつが出来てきて、そこも皮が剥けてきました。



この部分は歩くときに床や靴にあたる部分で、こうなるともう痒くて痒くて・・・歩くだけで悶絶するようになり、仕方なく現地の大きな病院の皮膚科に行きました。

そこで足の裏や指の間の皮膚のサンプルを取り、生検に出したところ・・・「水虫菌もないしほぼ無菌状態(皮膚の常在菌以外)だから、多分これは Dyshidrotic eczemaみたいなものだと思う。」と言われました。

Dyshidrotic eczema、日本語でいう汗疱状湿疹みたいな感じですね。もう水虫だと確信していたのでびっくりしましたが、よーく見てみると、確かに小さな水疱が固まって丘のようになったものが足の裏にいくつかできていました(膿疱はなし)。

水虫ではなかったとホッとしたものの、完治したと思っていた水疱が今度は足に出来た、ということで大変落ち込みました。ちなみにこの皮膚科でも少し強めのステロイド軟膏を出されました。

とはいえ、足の裏に軟膏を塗るというのは何とも不便なものです。しかも常夏の南国ということで普段は常に素足にサンダルでしたので、ヌルヌルと滑ってなかなかうまくいかず、結局寝る前だけ軟膏を付けて靴下をはいて寝ていました。

手のひらに比べて足の裏というのは皮膚も分厚く、水疱もはるか奥の方に出来ている感じで、軟膏も果たして患部に届いているのか??となかなか治らない足を見ながら思ったものです。

また、この足の水疱は、今までの手にできていた水疱とは(見た目は似ていたものの)少し違う点がいくつかありました。

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1)痒みが非常に強い

今まで手に出ていた症状は、たまに何かの拍子に猛烈に痒くなることがあり、両手をこすり合わせたりアイスパックを当てたりしてしのいでいました。ただ、非常に限定的で、猛烈に痒くなる時間を1とすると、痒くない(普段は痛痒い・熱を持った違和感という感じで痒くはないです)時間が9という感じでした。

ところが足の水疱は猛烈に痒い!! 常に歩いたり立ったりして体重がかかっているからかもしれませんが、痒みが一番つらい症状でした。


2)環境に依存する

これはどういうことかというと、この足の症状は周りの温度や履物によって症状が影響を受けている印象がありました。はっきり断言できないのは、足の症状は結局1~2年ほどで消えてしまったので、何年も繰り返している手と違ってデータが限定的なためです (;^_^A

例えば手の症状は、季節を問わず、またその他の外的要素(水仕事が多いとか乾燥しているとか)に関係なく、夏でも冬でも出ていました。

それに対して足の症状は、夏、特に汗をかくことが多い時、また靴下を履かない季節に悪化していました。なので発汗と関連している印象があります。

また、これは偶然かもしれませんが、私はCrocsのサンダルを履いた時に初めて症状が出たんですけれど、その後もビーチサンダルに変えると少しマシ?になり、またCrocsを履くと明らかに悪化する、というのを繰り返していました。それも履いてしばらくするとムズムズと痒くなるので最初はCrocsの素材に対するアレルギーかと思ったくらいです。

でも今考えると、Crocsの素材というよりは、汗をかきやすい形状(↓ こういう形で、ビーチサンダルに比べると熱気がこもりやすかったのかもしれません)だったのが影響していたのかとも思います。


汗をかいている自覚はなかったし、とても履きやすく重宝していたので残念でしたが、足の痒みに耐えられず持っていたCrocsはすべて処分してしまいました・・・


3)ステロイドが効きにくい

やはり手の皮に比べて足の皮というのは分厚く、その分ステロイド軟膏は効きが悪かったと思います。足の水疱は皮膚のずっと奥の方にできている感じだったので、局部に直接塗るタイプの治療薬は効きにくいのかもしれません。


4)膿疱ができない

水疱が奥の方にあったので破れたりして外部と接触する機会がなかったせいなのかどうかは分かりませんが、手にできるような黄色い膿のたまった膿疱はできませんでした。掌蹠膿疱症と違い、汗疱というのはそういうものなのでしょうが、これも大きな違いでした。


これらの違いも、本当は同じものができていたけれど、足と手の構造上の違いのために症状に差があった、というだけのことなのかもしれませんが、一応記録しておきます。


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さて、足に水疱が出来るようになり、ステロイドも効かず、これは何か別の方法を探さなくては・・・と、久しぶりにまたこれらの症状についてあちこちの文献を読み漁ってみました。ちなみにこうした情報を調べるときには、私は以下の場所を探すことが多いです。

ー皮膚科学会などの情報サイト
ー大学病院などの皮膚科の教育系サイト
ー過去数年以内に出た医学系論文

自分でブログを書いていてなんですが、個人の闘病記やブログは読みはしますが参考にはあまりしないことが多いです。

さて、かなり久しぶりに掌蹠膿疱症や汗疱状湿疹、異汗性湿疹について調べてみたわけなんですけれど・・・私が最初に発症したころに比べると、新しい知見や研究成果が沢山出ていて、治療法もステロイド軟膏だけだったのが他にもいろいろ出ていることに気が付きました。

その中で、掌蹠膿疱症の患者はビオチンの血中濃度が低いことが多く、ビオチン補充で症状が軽快することがある、という情報を目にしました。

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ビオチンとは何か?

簡単に言ってしまうと、ビタミンBの一種です。食べ物にもよく含まれているし、腸内細菌が作ってくれたりもするので、普通の食生活をしていて足りなくなるということはめったにないのですが。

ビオチンを作りにくい、または吸収しにくいという体質の人がいるらしく、そういう人は普通の食事をしていてもビオチン欠乏症になるそうです。

ビオチンは皮膚や爪、髪、粘膜などの健康に重要なため、ビオチンが足りないとこういった場所に影響が出るわけです。特に皮膚の炎症にはビオチン補給が効果的という研究結果も出てきており、アトピー性皮膚炎や脱毛にも影響があると期待されます。

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そこで、試しにビオチンをサプリとして飲んでみることにしました。サプリを摂る場合、まず過剰摂取に気を付けなければなりません。特に私はアメリカ人に比べて体が小さいので、アメリカの基準で成人推奨量を取っていては取りすぎになるかと思い、なるべく少量のビオチンサプリを探しました。

とはいえ、過剰摂取と一口に言っても、重要なのは「多すぎたときに体が捨てられるかどうか」ということです。ビタミンには水溶性(水に溶ける)と脂溶性(脂に溶ける)があり、水溶性は多すぎたら尿に出てきますが、脂溶性のビタミンを摂りすぎると体内に貯まってしまい害が出てきます。

幸いビオチンは水溶性なので、多少多すぎても(もったいないだけで)体から排出されるのみです。

ということで、ビオチンサプリを飲み始めました。ここはサプリ王国のアメリカ、どこのスーパー・薬局でも、サプリコーナーにはあらゆる種類のサプリがずらりと並んでいます。

アメリカの薬局で自分で買えるサプリやお薬についてのお話はまた今度詳しくしますが、結局店舗では錠剤、しかも30個入りとかしかなかったので、30個入りを何個も買ってプラスチックごみ増やすのもな~と思い、いつものようにAmazonで何となくですが以下の基準に沿って選びました

ー 錠剤ではなくてソフトジェルタイプ(何となく即効性・吸収性高そう)
ー 120個入りくらい(これ以上入ってると開封後時間が経ちすぎて鮮度が落ちそう)

肝心のビオチン含有量についてですが、メジャーなのは一錠あたり 5,000 ~ 10,000 mcg でしたが、どちらも一日のアメリカ標準成人摂取量をはるかに超えているので、まぁ余分なものは出ていくだろうということであまり気にしませんでした。500 mcg というものもありましたが、これでも十分すぎるくらいです。

Nature's Bounty Biotin Supplement, 10,000 mcg, 120 Rapid Release Softgels



楕円形の飲みやすいタイプです。

ちなみに、これって日本のアマゾンでも買えるのかな~と思ってみてみたら、同じものがこっちの3倍近い値段で売られていてびっくり! 時期によっても値段が変動するので、たまたま今が高かっただけかもですけれど・・・

正直それなりに名の知れた会社であれば、錠剤でもカプセルでも5,000でも10,000でも、あまり大差はないと思われます・・・ただ、はじめて飲む方は、体に合わないことも考慮して(実際アトピーの友人は体に合わなくてすぐにやめました)お買い得だからと3個セット買ったりせず、お試しサイズからの方がいいかもしれません。

アマゾン日本のビオチンコーナー


さて、話がそれてしまいましたが、そういうわけで、2年ほど前の夏、ビオチンを飲み始めました。この時点で、膿疱治療+古い銀歯の除去(どちらも100%ではなく、一部のみ)から多分1~2年経っていたと思います。手の症状に関しては、口内のケアでほぼ完治という感じでしたので、ビオチンに関しては足の症状緩和(と手の予防)のために飲み始めた感じです。

ビオチンは症状が出ていた時は大体2~3日に1回くらい、それ以外は1週間に1回くらいの割合で飲んでいました。そのうち、足の水疱も圧感がなくなってきて(説明しにくいのですが、パンパンに膨らんでいた水疱がだんだんしぼんでいくような感覚です)、皮むけも次第に綺麗になってきました。

ステロイドは足の裏に塗るのは(特に夏場)不便が大きすぎたのと、効果も感じられなかったためやめており、ビオチンを飲んでいただけでしたが、そのうち(多分数週間くらいは掛かっていたと思います)綺麗に治りました。

今この記事を書いている現在でビオチンを飲み始めて2年ほど経過していますが、手は全く症状が出ていません。足はたま―に水疱がかたまったでこぼこしたものが出ますが、これが出る前には(見た目は全く綺麗なのに)明らかな違和感やかゆみが出現するので、その時点で慌ててビオチンを飲むと、水疱が出てもすぐに消えます。明らかに「ここにできますよ~」っていうチクチク感覚があったのに、まったく何も出ないこともあります。

ちなみにこの「症状が出る直前にその場所に違和感がある」状態は、正にヘルペスなどと同じ感覚です(私は5年に1回くらい唇の同じ場所にヘルペスが出ます)・・・。

一応予防として、何の自覚症状もないときにもたまに飲むようにしています。出産後脱毛もひどいし・・・また、旅行の時などにも(足に出たりするとつらいので)必ず何錠かは持っていくようにしています。


20年間も悩み続けていた掌蹠膿疱症が出なくなってまだほんの数年ですので、まだまだ完全に克服したとは言えないかもしれませんし、今でもまた何かのきっかけで出てきたらどうしようと思うことはあります。

が、現在の時点で日常生活にはまったく影響がなく、多少出てきても「自分でコントロール可能」と思えるだけですごい達成感です。

アトピーや掌蹠膿疱症って、とりあえず命がどうこうという疾患ではないし、「手術で腫瘍を取り除いた」とか「抗生剤で感染症を治した」的な方程式がない分、医学的にもあまり医師の関心を集めにくいところがある気がします。

治療も個人差がありすぎて、さらに長期間にわたって一進一退を繰り返す、という感じなので、ますます患者としても医師としても意欲をそがれていくというか・・・

でも、短い一生のこれだけ長い時間を、毎日毎日不快感や不便感を味わいながら暮らしていかないといけないのって本当にもったいないです。

これら3つの治療(膿疱治療、歯科治療、ビオチン補給)は、特にハイリスクでも超高額な治療でもありませんし、ダメ元でやってみるという気持ちで着手してみてもいいかもしれません。私の場合はこの組み合わせで(今のところ)数年は快適に暮らせていますが、誰もに効くとは限らないので、そのあたりはあくまでも「ダメ元」マインドで行くといいと思います。

この辛さは、味わったことのある人にしか分からないと思います。一人でも楽になるよう、応援しています。

まとめ:
【医学】掌蹠膿疱症1:20年間の軌跡
【医学】掌蹠膿疱症2:金属について
【医学】掌蹠膿疱症3:歯科治療について

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