ちなみに Ibuprofen も Acetaminophen もいわゆる鎮痛解熱剤で(機序は違うのですが)おそらくどの国の薬局でも処方箋なしで買えます。日本ではそれぞれイブ(Ibuprofen)タイレノール・カロナール(Acetaminophen)として商品化されているようですね。
このうちの Ibuprofen を服用すると新型肺炎が悪化する、との主張を目にしたわけです。そもそもどのように広まったかというと、私の理解した範囲では以下の通りでした。
Lancetで、Ibuprofen が「理論的には」ウィルス増殖に加担してしまうのでは?という論文が出たり、フランスの Health Minister が「Ibuprofenで症状が悪化する可能性があるのでAcetaminophenを使うように」と発言したことなどが発端のようです。
一時はWHO もそれを支持したものの、その後裏付けとなるデータが確認できなかったようで、最終的に3月18日の時点で「WHO は Ibuprofen の使用中止は推奨しない(WHO does not recommend against the use of ibuprofen)」と述べています。
マイナスとマイナスでプラス、みたいな歯切れの悪い文ですが、要は「使用すべきではない、という科学的根拠は今はない」ということらしいです。
というわけで、現時点では Ibuprofen が新型肺炎を悪化させるという説を裏付ける医学的根拠は確認されていないようです。ただ、まだ分からない、というだけなので、今後もっとデータが集まるにつれて変化していく可能性は大いにあります。
ちなみにこの件については、ざっと見ただけでも以下のサイトがヒットしました。なぜかCDCやWHOでは過去のキャプチャ以外見つかりませんでした。
- カナダ政府のサイト:No scientific evidence that ibuprofen worsens COVID-19 symptoms
- BBC Reality Check:Coronavirus and ibuprofen: Separating fact from fiction
- Healthline:Here’s What We Know About Ibuprofen and COVID-19
でも「Ibuprofen 飲むと悪化するから飲まないべき」という情報と「Ibuprofen が症状を悪化させるという説もあるけど、まだ検証されてないので真偽は不明」という情報って、全然違いますよね。
私たちも簡単に鵜呑みにせずなるべくその時点で最新の正確な情報ソースを億劫がらずに調べるべきだなぁ、と実感しました。
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